「美」とは何か?
冨士山アネット/Manos.(マノス)の新作は、
ドイツの現代作家マリウス・フォン・マイエンブルクによる [醜い男]。
2007年ベルリン・シャウビューネにて初演後、
世界30カ国以上で上演された傑作戯曲に挑みます。
ブラックユーモアにまみれた現代の鏡の様な本作に、
見えない「美」を映し出します。
冨士山アネット/Manos.初の単独本公演にて、
東京、福岡、京都の3都市ツアー。
STORY
「でもあなたの顔は、残念だけどとてもとても醜い。」
エンジニアのレッテはその外見の醜さゆえに、
自らが開発した新製品を学会で発表する晴れの舞台から降ろされてしまう。
本人の無自覚さとは裏腹に、その醜さは妻にも目を逸らされる程おぞましいものだった。
初めて自分の顔の醜さを知ったレッテは、美容整形を受ける。
其処で得た顔は、「尋常でない成功例」。
完璧な顔によりその後彼の人生は劇的に変わって行くが・・・。
DIRECTOR'S NOTE
「ねぇ、醜さよ。」
醜さ、というテーマは、判断基準が曖昧だ。
人の美意識に基づいて判断する物だから、本当にそれぞれによって変わる。
本作のリハーサルの為に「醜さ」というものについての話をして行くと、
必然的に最大公約数の醜さ、は有る様に見えて来る。
只それは集団心理がそうさせるのか、内面的な醜さを扱う人が多かった。
それは或る意味表面的な「醜さ」について扱っては行けない、という民主主義の嗜み、というか、
タブーは認めないと言う半ば数の暴力的な所も感じた。
この「醜い男」という戯曲は、表面的な「醜さ」を皮切りに書かれていく、
奇怪でブラックユーモアに満ちみちた戯曲だ。
必然的に「醜さ」を取扱う事によって見えて来る様々な模様が或る。
其処を4人の登場人物と共に、数の暴力に逃げずに、流されず取扱っていきたいと思う。
ねぇ、醜さよ。
世間様があなたを許してくれる日は来るのかしら。
長谷川寧